中国経済が直面する試練 貧弱な社会保障制度、格差社会、地方金融機関のリスク
2021年9月20日 19:13
中国恒大集団の経営危機問題で中国経済は試練に直面しています。
それを機に、意外に脆い中国の弱点に投資家の注目が集まっています。
まず社会保障制度の貧弱さです。
2020年の第1四半期は2300万人失業者が出たのですが、そのうち1割しか失業保険にありつけませんでした。中国では田舎ほど失業保険のカバー範囲が手薄だし金額も小さいです。
次に公的な健康保険支出はGDPの0.14%に過ぎません。
中国の場合、すべての社会福祉支出を合計してもGDPの3.5%に過ぎません。ちなみにOECDの平均は20%、新興国の平均は6%、日本は22%です。
このようにソーシャル・セイフティーネットが不十分だと消費者は景気暗転局面で消費を絞り込み、貯蓄を優先します。
今後、中国の消費、とりわけ贅沢品の消費が大きく落ち込むリスクがあると思います。
中国は格差社会です。格差を測るモノサシにジニ係数というものがあり、数値が大きければ大きいほど不平等な社会だということを示すのですが中国のジニ係数は38.5です。これは米国の41.4よりは低いものの日本の32.9、ドイツの31.9より高いです。
中国の税制は低所得者層に過酷な仕組みになっています。それというのも税収の65%が付加価値税だからです。所得税は普通累進課税であり、裕福層になるほど税負担が重いです。これと対照的に付加価値税は低所得者層を苦しめます。
中国政府はネット企業、不動産会社などへの締め付けを強化し、政府系企業に信用を回していますが政府系企業は非効率経営が多く、結果として競争力のあるセクターから奪い、競争力の無いセクターに補助金を渡す構造となってしまっています。
家計部門の負債は5年前はGDPの44%に過ぎなかったのですが、現在は58%にまで上昇してきています。つまり現在のライフスタイルを維持するために、より借入れに依存する構図が浮かび上がって来ているわけです。
もし信用の緊縮が起こった場合、地方の零細な銀行が心配です。なぜなら支払い遅延ローンは地方の零細銀行では4.3%を占めている一方で、都会の大手行は1.5%に過ぎないからです。
自己資本比率の面でも地方の中小の銀行は脆弱なところが多いです。