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ミンスキー・モーメント(Minsky moment)について

2021年9月20日 18:47

ミンスキー・モーメントとは資産価格が突然大きく値下がりし、それが引き金となって信用のサイクルや経済サイクルが暗転する瞬間を指します。

その名称は経済学者ハイマン・ミンスキーから名付けられています。ハイマン・ミンスキーはセントルイス・ワシントン大学の経済学部教授でした。

彼の理論は「経済活動と信用の創造はかならず二人三脚で歩調を合わせて拡大してゆくのではなく、時として両者の間には齟齬が生じる」というものです。

具体的には信用の創造が、ある時点から経済活動よりも速いペースで膨張しはじめ、投機の要素が入り込み、さらにその終盤近くになるといま借りているお金の返済のやりくりをつけるため、更に新たな借入れをする、いわゆるポンジ・スキームが横行しはじめる……そしてある時点でそれが行き詰まったとき、信用の崩壊が起きるという仮説です。

現在中国恒大(Evergrande)が経験している利払い不能が、ミンスキー・モーメントの典型的な例だと思います。その他、リーマンショックもミンスキー・モーメントだったと言えると思います。

中国では国内事業会社の負債がGDPに占める割合が2008年の135%から2018年には250%にも増えました。

2008年以降、経済のアウトプットは年率5~6%前後で成長している一方、信用成長はそれまでの6%から、一気に15%、20%、25%と急膨張しました。

その結果としてGDPを1単位押し上げるために必要な信用の増加は、これまでの1倍から現在は5倍以上になっています。

そのようにして創り出された新しい信用の多くは政府系企業、それも工業セクターの会社に割振られています。ところがそれらの政府系企業はとても非効率で付加価値を生み出していません。

幸い中国では国内の資本の蓄積が進んでいる関係で外貨建ての借入れが比較的少ないです。これがリスクを小さくしていると言われています。

さらに政府の債務がGDPに占める割合がとても小さいこともリスクが小さいと考えられる理由です。

但し地方政府の債務は中央政府の債務と別であり、計算に入れられていないことが多いですし理財商品のような「飛ばし」で債務の実態が明らかになってなかった経緯などもありますので額面通り受け止めるわけにはいきません。

中国のクレジット市場の参加者は国内金融機関が多く、海外の機関投資家が受けるダメージは限定的だと思います。しかし信用の緊縮は不動産、建設セクターを直撃するので銅、鉄鉱石、石炭、バラ積み船などの銘柄は急落するリスクがあると思います。