リーガルズーム 個人が会社登記することを支援するオンライン・プラットフォーム、ナスダックに新規株式公開へ
2021年6月22日 00:08
リーガルズーム(ティッカーシンボル:LZ)が近くナスダックに新規株式公開します。今回発行株数は1912万株、価格設定は24~27ドル、幹事はJPモルガン、モルガンスタンレー、バークレイズです。
同社は個人が会社を始めるとき、その登記をする事務を支援します。また同社のマーケットプレースを通じて、必要であれば弁護士も紹介します。リーガルズームは1300人の独立系弁護士のネットワークを持っており、直ぐに紹介できます。さらに各種届け、コンプライアンス、税務、会計のサービスなども提供します。
全米には3100万のスモール・ビジネスが存在しています。最近はギグワーカーのような個人でも会社登記して会社として仕事を請けるということがだんだんポピュラーになってきています。その理由はそうすることで訴訟などがあったとき、個人破産を回避することができるからです。
このように会社設立はスタートアップを目指す起業家だけでなく、個人で仕事を請け負うことだけをメインに考えているギグワーカーにとっても、当たり前のトレンドになりつつあるのです。このようにして2020年だけで440万社ものスモール・ビジネスが創業されました。
米国では連邦政府の法律だけでなく、州法、郡法など法体系は複雑です。そして業種によっては飲食業には飲食業に固有の、ヘルスケアにはヘルスケアに固有の順守すべき事項やライセンスがあり、はじめての人は知らず知らずのうちに必要な届けを提出していないというリスクが発生します。
リーガルズームはスマホでシンプルな質問に先ず答え、そのやりとりから同社のAIが次第にその人に必要な法務アドバイスや届けの類をもれなくアドバイスします。
リーガルズームのブランドは、アメリカ人にとてもよく認知されています。同社は2020年だけで37.5万件の会社登記を行いました。別の言い方をすれば米国の新しいLLCの10%がリーガルズームを経由して設立されています。
過去30年のうち26年、アメリカでのスモール・ビジネスの登記は前年比でプラスでした。つまり経済全体としてスモール・ビジネスへの移行が進んでいるわけです。リーガルズームは2006年からサービスを開始していますが、全ての年で市場成長よりも高い成長を示しました。
米国で会社を始める際、まず州務長官に対し会社登記書類を提出する必要があります。その際、会社の定款を添付する必要があります。これは個人には少々荷が重いです。リーガルズームは登記を行う事が出来るし、必要であれば定款作成のために弁護士を紹介することもできます。
これが出来れば「会社のマイナンバー」に相当するEIN(Employer Identification Number)が発行されます。
殆どの州ではレジスタード・エージェント(登録代理人)を置かなければいけません。登録代理人はその会社の事業所に常駐し、法的な文書を受け取った際、それにすぐ返答できるような人を指します。でも法的文書の内容が難解である場合、どういう風に対処して良いかわからない場合が多々あります。リーガルズームは、そのような個人のオーナーに代わって登録代理人となり、わかりやすい言葉で「これはこういう風に処理して下さい」とオーナーにアドバイスします。その際、AIが役所からのレターを読み、対応を間違えないように処理してゆくわけです。
この他、事業の多くはアニュアルフィーの納付、事業保険、年次報告書の提出、納税を必要としますが、リーガルズームはそれらのサービスも提供しています。
米国では、現在、法務サービスの僅か8%のみがオンラインで処理されており、非効率です。弁護士の4割はウェブサイトすら持っていません。このように法務サービスの分野はデジタル化がたいへん遅れており、逆に言えば今後成長可能性が大きいです。リーガルズームでは潜在市場は486億ドルだと見ています。内訳は会社登記だけで183億ドル、継続的な届け類が215億ドル、エステート・プランニングが88億ドルなどです。
同社は2020年中61.1万回の法務アドバイスを行い、年間売上高は4.71億ドルでした。2019年は4.08億ドルだったので+15%成長ということになります。
同社の場合、マーケティング・キャンペーンで使った費用の投資回収に要する日数は90日と短いため、最近、積極マーケティングに転換しています。このため2021年第1四半期の売上高成長率は前年同期比+27%に加速しました。
同社は既に黒字です。2020年の修正EBITDAマージンは19%、2020年の営業キャッシュフローは約1億ドルでした。
同社の売上高の49%は登録代理人などのサブスクリプション売上高です。これは最小限の仕事をするだけで収入が入って来るのでとてもマージンが高いビジネスです。
一方、会社設立の際に1回のみ請求するトランザクション収入は高い金額を請求できるのでペイバックが速いです。同社が黒字体質なのは、このトランザクション収入とサブスクリプション収入のバランスが良いからです。
2020年の登記実績は37.8万回、2019年は29.2万回でした。現在、109万社がリーガルズームのサブスクライバーです。ちなみに2019年は92.1万社でした。サブスクリプション売上高のうち65%は登録代理人業務です。
リーガルズームは長期経営目標として売上高年率+24%成長、グロスマージン71~73%、カスタマー・アクイジション・マーケティング=売上高の18~22%、修正EBITDAマージン 30%、フリーキャッシュフロー・マージン25%を目指しています。