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イスラエルは新型コロナからいちはやく立ち直った 政治は右傾化・国粋化

2021年6月15日 03:38

イスラエルのGDPは新型コロナの打撃を受けた2020年に3回の外出禁止令が発令された関係で-4.0%を記録しました。(データは全てIMF、2020年以降の数字は予想)

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しかし新型コロナワクチンが出来ると目を見張るスピードで接種を進め、6月14日現在国民の56.8%が2回目の注射を終えています。これは主要国で最高です。

テキパキしたワクチンの接種もあり、イスラエル経済はいちはやく立ち直りを見せています。同国経済がハイテク主導であること、ウェブ企業は世界のビジネスが在宅勤務を強いられたことで逆に恩恵すら受けたこと、などが指摘出来ます。

失業率はサービス業などを中心に上昇していますがこれは他国に比べると極めてマイルドな悪化です。

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物価は新型コロナの外出禁止令の関係で消費が落ち込み物価下落プレッシャーが生じたことをうけ2020年に-0.6%とデフレを経験しました。しかしそれ以降は安定的に推移する見込みです。

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イスラエル政府は新型コロナの発生をみて直ちに財政出動に踏み切りました。その関係で財政収支は大幅に悪化しています。

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政府負債がGDPに占める割合も上昇気味です。しかし日本やアメリカに比べるとまだまだ健全です。

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イスラエル企業は国際的に競争力があります。イスラエルの経常収支は安定的に黒字です。

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このため通貨(新シェケル:1NIS=0.31USD)はしっかり推移しています。

イスラエルでは今日からネフタリ・ベネット新首相が誕生します。ベネット首相は不安定な連立政権が早々に瓦解しないよう、右派ヤミナ党、中道イェシュアティド党などをまとめてゆかなければいけません。

イスラエルでは二つの人口動態的なトレンドが起きています。ひとつは超正統派(Haredi Judaism)の人口の増加が著しい点です。2015年の時点で人口の12%前後だった超正統派は2065年までには30%に増えると予測されています。その理由は超正統派の合計特殊出生率が普通のイスラエル人の3.5倍だからです。超正統派の政治信条は国粋主義的です。

第二の理由としてイスラエルの若者は親の世代より右傾化していることが指摘できます。話し合いでパレスチナ問題を解決するのではなく、武力の増強による抑止力で対応したほうがいいと考える若者が圧倒的に多いです。

その背景にはイスラエルはハイテクや武器に優れており、それを活用することで安全保障と安心を手に入れたいという気持ちが強いからです。

するとイスラエルは放置しておけば自然と右傾化する運命にあると思われます。ところが近隣のアラブ諸国は「それも致し方ない」と考えているフシがあります。なぜなら「強いイスラエル」は、それなりに利用価値があるからです。

アラブ圏の世論は昔の汎アラブ主義が後退し、協調の機運が高まっています。イスラエルと国境を接するヨルダン、エジプトの両国は外交関係はゼロに近いですが平和条約を交わしており、ガッチリそれを順守しています。サウジアラビア、オマーン、カタールなどは水面下でイスラエルと強調する態度を取っています。するとイスラエルに対して敵対しているのはイラク、リビア、アルジェリア、イエメンなどであり、戦争状態とも言える緊張関係にあるのはイランとそれに操られているシリアのみです。

このように全体としてイスラエルの周辺国の同国に対する態度は容認的であり、そのチャンスにイスラエルが国内の右傾化を放置しているわけです。