ロケット打ち上げサービス企業アストラが連続起業家クレイグ・マッコーのSPAC、ホリシティーと合併、裏口上場、スペースXより早く上場を実現
2021年2月8日 06:11
アストラ(ASTR)はトースターくらいのサイズの小型民間人工衛星を大量に打ち上げることを目指している宇宙ベンチャー企業です。
同社は元NASAのクリス・ケンプがCEOを務め、元アマゾン、アリスタ・ネットワークスのケリン・ブレナンがCFOを務めています。
一方、今回アストラへの投資を決めたホリシティーはAT&Tワイヤレス、ネクステル、マッコー・セルラー、クリアワイアなどを経営した経験豊かな起業家、クレイグ・マッコーがCEOです。
今回アストラがホリシティーと合併することで初のピュア・プレイのロケット打ち上げ企業が株式市場に上場されることになります。
アストラはサンフランシスコからベイブリッジを渡った対岸、アラメダにかつて存在した米国海軍航空隊基地跡地に本社、ロケット工場、人工衛星工場、テスト打ち上げサイトがあります。これは素晴らしいロケーションです。
アストラは2020年12月15日に民間企業としては三番目に人工衛星の打ち上げに成功しました。
人工衛星の市場を俯瞰すると、半導体技術の進歩の速度が速いので、従来の、ひとつの人工衛星を何十年も使うという発想は陳腐化しています。それよりどんどん打ち上げ、どんどん更新したほうがいいです。
そこで小規模、シンプル、かつ安価なロケットにより、沢山トースターくらいのサイズの人工衛星を打ち上げることが構想されています。この商機には既に100社近くのスタートアップ企業が参入しており、今後激しい淘汰が起きる可能性が強いです。
アストラの旧米国海軍航空隊基地跡地の本社には海軍が使っていた滑走路があります。そこからハーキュリーズ輸送機にロケットを積み込み世界のどこへも輸送、発射できます。またこの基地には輸送船が接岸できる岸壁もあります。従って海運による出荷もカンタンに出来ます。
アストラは標準化されたロケットを使う方針であり、顧客が人工衛星を設計する際にも標準化されたコモン・プラットフォームを使うことでコストダウンを提唱しています。
かつてフォードが「モデルT」の生産で大量生産の概念を使ったように、「ロケット版のモデルT」を世に問うわけです。
これまでは「ロケットは大型でなくては経済性を発揮できない」という先入観がありました。しかしアストラは「量産さえすれば小型ロケットでも大型ロケットの経済性を上回ることができる」と考えています。
低い軌道を回る沢山の人工衛星の星座を構成することでサービスを提供する構想をもつ民間企業が増えています。そのような人工衛星のスタートアップ企業は400社あります。
この市場は向こう20年で1兆ドル市場になると予想されています。
一方、向こう10年間での人工衛星打ち上げ予算は2160億ドルと試算されています。
現在4062の人工衛星が飛んでいます。2029年までにそれが4万個になると試算されています。
人工衛星の最もてっとりばやいビジネス・モデルはグローバル・ブロードバンド接続サービスです。クルマ、船舶などをインターネットでつなぐことが可能になるほか、IoT、農業への応用も考えられています。
これらのサービスの一部はかならずしも常にネットへの接続を必要としません。断続的に接続できれば十分です。
このようなサービスのローンチを通じて、1年間に数万回のロケット発射が行われることが普通になると思われます。
人工衛星の大きさは、かつてスクールバスくらい大きかったです。いまはトースターくらいの大きさで同じ仕事が出来ます。
低軌道で地球の周りを回る小型人工衛星はデータ転送速度が速いし人工衛星の撮る衛星写真は遥かに鮮明なイメージが可能です。だから大きければ良いというものではありません。
アストラは事業を始めるにあたり、まずソフトウェアを開発しました。それでロケットの大量生産、大量出荷、ローンチのスケジュール管理、ローンチの指揮などを全て自動化しました。そして生産、ローンチに関するデータを全て記録し、次回の効率生産、効率ローンチに生かすわけです。
このような効率の追求により1回の打ち上げに必要なスタッフは6人、受注してから6日で打ち上げる事が出来るようになりました。
アストラは創業してから、スペースXの半分の時間で最初の人工衛星を打ち上げました。
同社は既にNASAの契約も獲得していますし、他の民間企業からも合計100回の打ち上げ分として1.5億ドルの契約を締結しています。
今後のロードマップとしては2021年半ばから商業ローンチを開始し、2025年までには「毎日最低一回」ローンチを実現します。そして2024年に黒字化をめざし、究極的には修正グロスマージン70%、修正EBITDAマージン50%を達成する考えです。