アファームがIPOロードショーをキックオフ
2021年1月6日 07:30
無担保融資アプリのアファーム(ティッカーシンボル:AFRM)が新規株式公開(IPO)のマーケティングを開始しました。
同社はサンフランシスコに本社を置くフィンテック企業で元ペイパルの幹部、マックス・レヴチンにより2012年に設立されました。
従来のクレカは消費者目線からすると金利がわかりにくく、支払い遅延のペナルティー、隠れたフィー、残高が複利で雪だるま式に大きくなるなど、数々の問題がありました。
このためミレニアル世代、ジェネレーションZは銀行を余り信用していません。むしろフィンテック会社と金融取引の関係を結びたいと考える傾向があります。
アファームは消費者とフェアな取引をし、透明性を確保することを社是としています。
消費者がエクササイズバイクなどのモノを購入したいと考えた時、高額商品なら自分のクレカでそれを決済し、与信枠を超えてしまうリスクがあるので、それとは別に割賦で購入したいという希望を持ちます。
その場合、マーチャンツはアファームのアプリと連動し、まず消費者はそこに自分の携帯の電話番号入れます。すると秘密のコードが着信し、それを入力するとすぐに割賦の支払いのスケジュールを選ぶことが出来ます。隠れたフィーはありませんし、極めて明朗会計で、わかりやすいサイトになっています。
マーチャンツの側からするとこれまで自分の高額商品を消費者に訴求しようと思えば値引きをするくらいしか方法がありませんでした。これだと商品のイメージを損ねますし、結局、カスタマー・アクイジション・コストが高くなってしまいます。
そこで割賦の選択肢を提示することが出来れば、値引きしなくて良くなるというわけです。
マーチャンツがアファームと組みたがる理由はここにあります。
アファームのサイトでは必ず金利を最初に明示します。また常に固定金利です。また割賦なので複利で返済負担が雪だるま式に大きくなることはありません。また消費者の支払額の上限を明確に設定します。支払い遅延のペナルティーも無いし、繰上げ返済のペナルティーもありません。
個々の商品の購入毎に支払いスケジュールを設定できます。それは隔週から始まって毎月とか6週間から最長48カ月まであります。
例えば2145ドルのペロトン・バイクを購入する際、アファームのアプリに「12ヵ月毎月178.75ドル支払うか、24カ月毎月89.38ドル支払うか、39カ月毎月55ドル支払うか?」を選択させることが出来ます。そしてアプリ上に「APR0.00%、金利0.00%」など条件が明示されます。
同社にとって高額商品を販売しているサイトがナチュラルなマーケティング・パートナーになります。ある意味、アファームが広告宣伝を打たなくても、マーチャンツが勝手にアファームのサービスを紹介してくれるわけで、顧客取得コストが安いです。
ダラー・ベースト・マーチャンツ・リテンション・レートは100%以上です。

なお、重要な点としてアファームはマーチャンツにアファーム・ユーザーの個人データを提供します。消費者の懐具合、消費性向、過去の購買のヒストリーなどを共有するわけです。
マーチャンツはそれに基づいてよりテーラーメードのプロモーションをすることができます。その情報があるのでマーチャンツはより効率的に消費者に対してターゲティングできるというわけです。
アファームは0%APR、もしくは金利付き融資の両方を提示できます。後者の場合、マーチャンツが金利を一部負担することで消費者に買いやすくすることもできる。
マーチャンツからすれば、単純に商品を値引きするより金利補助により消費者に実質的なディスカウントを提示したほうがマーケティング費用を厳密にコントロールできるだけでなく大きな購買金額のディールを約定することができるというわけです。
アファームは小さいマーチャンツに対しても大口顧客と同じカスタマー・インサイツ、ソフトウェア、ツールを提供しています。
ショッピファイはネット通販のエクスクルーシブ・パートナーとなっています。
またアファームのトランザクションの30%は自社アプリ上で紹介したマーチャンツの製品を消費者が購入することによって生まれています。つまりアファームのアプリ自体がある種のマーケットプレースの役目を果たしているのです。このレコメンデーション機能はマーチャンツにとってとても魅力です。
さらにアファームはバーチャル・カードというクレカを提供しています。これを使えばアファームのメンバー・マーチャンツでなくてもクレカを使用する感覚で割賦することができます。
アファームは個々の購買レベルでデフォルト・リスクを測ることが出来ます。
業績ですが、FY2020年のGMVは46億ドル(前年比+77%)、売上高は5.1億ドル(同+93%)でした。
現在の顧客数は620万人でこれまでに1730万トランザクションをこなし、6500のマーチャンツと商売しています。リピート・カスタマーは1年に10回トランザクションします。
アファームは消費者からはフィーを取りませんがマーチャンツからはコンバージョン・フィーを取ります。
またバーチャル・カードが使用された場合はクレカがそうしているようなインターチェンジフィーは徴収します。
アファームはバークレイズ、ING、ジェフリーズ、リージョンズ、トゥルーイストなどの金融機関とウエアハウス・ファシリティーズ契約をしています。
シティズンズバンク、クレディスイス、モーア・キャピタルに債権を売却することもしています。
ベアリングス、GIC、メットライフ、ウエリントンとセキュリタイゼーション取引をしています。
アファームの債権はショート・デュレーションかつ良質な貸付資産なので転売しやすいです。
今回のIPOですが発行株数は2460万株、価格レンジは33から38ドルです。
幹事構成はモルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、アレン&カンパニーです。
アファームのVCはコースラ・ベンチャーズ(5.5%)、ファウンダーズ・ファンズ(6.8%)、ライトスピード・ベンチャーファンズ(7.4%)、ジャスミン(8.7%)、ショッピファイ(8.0%)です。