ルートはマシン・ラーニングで自動車保険の価格破壊を狙う
2020年12月17日 18:41
ルート(ティッカーシンボル:ROOT)は10月27日に新規株式公開(IPO)されたばかりの若い会社です。
同社のビジネスは自動車保険です。
自動車保険といえばウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの中核会社となっているガイコーが有名です。
ガイコーは格安自動車保険で自動車保険業界に革命をもたらした企業であり、バフェットの成功も少なからずガイコーに助けられている面があると言えるでしょう。
ルートは、ガイコーが実現した自動車保険革命を、データ・サイエンスによってもう一段、前進させるような試みです。
同社は消費者に保険を販売する際、独自のテレマティック・デバイスをクルマに装着して下さいと言う風にお願いします。
そのテレマティック・デバイスは他の保険会社が使用している、既存の運転データ記録装置とはかなり違う仕組みであり、スピード違反、急ブレーキなどの従来のデバイスが記録していたビヘイビアに加え、急にハンドルを切る、スマホの見ながら注意散漫な運転などもキャッチできるようになっています。
特にスマホにはもともと敏感なキネティック・センサーが搭載されていることから、それとルートのテレマティック・デバイスのデータを連動させることで、いままでよりもずっと細かく、交通事故の発生を予見しやすい肝心なデータを蒐集できるのです。
ルートはそうやって集めたデータ(=今期だけで15億マイルの走行データ→4テラバイト)をマシン・ラーニングに通して事故率を割り出し、そこから個々の運転車のクセに合せた保険料を逆算するというわけです。
これまでの自動車保険は消費者の年齢、性別、既婚かどうか、学歴、住んでいる場所など、直接運転とは関係ない属性によって保険料率を決定してきました。
このやり方だと悪い運転をする人が引き起こすコストを、良いドライバーから徴収する保険料で補てんするという現象が起きてしまいます。言い換えれば自動車保険は良いドライバーほど実質的な負担のしわよせが来やすい仕組みだったのです。
そこでルートはテクノロジーとデータ・サイエンスをもっと駆使し、それを自動車保険の料率に反映させることで、本当に良いドライバーに安い値段の保険を提示することを目的に作られた保険会社です。
自動車保険市場は毎年2660億ドルの保険料売上高がある巨大市場です。ですからその中でごく一部のマーケットシェアを取るだけでルートの売上高は大きく成長できます。
ルートの第3四半期の稼働プレミアムは前年同期比+41%の6億ドルでした。今期の直接プレミアム販売は1.65億ドルでした。年初来では+53%の4.71億ドルでした。直接プレミアム売上高は1.54億ドルでした。年初来では+93%の4.5億ドルでした。
ルートの第3四半期の修正粗利益マージンは970万ドルでした。前年同期は-2720万ドルでした。修正粗利益マージンは19.2%でした。前年同期は-34.2%でした。
純利益は70万ドルでした。前年同期は-3650万ドルでした。
直接ロスレシオは89.8%でした。前年同期は113.3%でした。
同社は現在30州で自動車保険を販売しています。米国の保険事業は州政府の管轄であり、州ごとにライセンスを取得する必要があります。そのため同社は残りの州でもいわゆるシェル・カンパニー(=保険を営業するライセンスだけは持っているけれど実際には休眠中の会社)を次々に買収し第3四半期中に全米のすべての州で営業できる体制を整えました。
最初にある州に参入すると、当初はドライバーのデータが少ないのでロスレシオが変動することが予想されます。またドライバーは長く保険会社と付き合えば付き合うほどロスレシオも低くなるし顧客離反率も低くなります。その意味では現在のような事業の急拡大の局面ではそれらの経営指標がぐらぐらするのは仕方がないという風にも捉えることができます。
なお第3四半期は前年同期に比べ稼働プレミアムが減速しました。その理由は新型コロナが発生した第2四半期にマーケティングを絞り込み、様子をみたことによります。いまは再びマーケティングを強化しているのでその効果は2021年第1四半期頃までには決算に反映されると会社側は予想しています。