ニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダックの違いについて
2020年12月13日 23:08
ニューヨーク証券取引所(NYSE)は1792年に創設されたアメリカで一番歴史のある株式市場です。NYSEは「ビッグボード」という愛称で呼ばれることもあります。
投資家の注文は証券会社を経由してマンハッタンの南端近く、ウォール街とブロード街の交差点に位置するNYSEへ送られます。証券会社は立会場の中に電話ブースを持っており、注文を受け取ったフロア・ブローカーがその銘柄が取引されている取引ポストまで歩いて行き注文を伝えます。
取引ポストの外側にはスペシャリストと呼ばれる交通整理のお巡りさんのような人が立っていて、その人が「売りたい」という注文と「買いたい」という別の注文を突き合わせるわけです。売り買いが上手くマッチしないときだけスペシャリストがじぶんのお金を使って「売れ残り」の注文を買い取る、ないしは「買い残し」の注文に対して売り向かうことで不成立の取引を成立させるというわけです。
ナスダックは1971年2月8日から取引が開始された新興市場です。そうは言ってもNYSEのような立会場は存在しません。取引は会員証券のコンピュータ・スクリーンの中で成立します。
投資家の注文を証券会社が受けると、証券会社のトレーダーはその場で売買を成立させます。具体的には投資家が買い注文を入れた場合は証券会社のマーケットメーカーと呼ばれる自己ポジションでトレードするトレーダーがそれに売り向かいます。逆に投資家が売り注文を入れた場合は証券会社のマーケットメーカーが自己ポジションで買い向かうのです。
ここでNYSEとナスダックの取引成立の違いを明確化させると、NYSEでは買い手も売り手も末端の投資家だという点に注意を払ってください。
それと対照的にナスダックでは買い手の注文に対し証券会社のマーケットメーカーが売り向かうわけですから、投資家が取引をしている相手は証券会社そのものだという点です。
それでは投資家の買い注文に対しそれに自己ポジションで売り向かうことによって売買を成立させた証券会社はどのようにして自分の在庫を管理しているのでしょうか?
売り向かった場合には「くるっ」と向き直り、別の証券会社のマーケットメーカーから実質的に空売りした状態になっているそのポジションを買い戻すわけです。
このような違った証券会社のマーケットメーカー間でのポジション調整の売買をインター・ブローカー取引と呼ぶ場合もあります。
言い直せば、証券会社は末端の投資家から注文をもらい、自分が買い向かい、ないしは売り向かうことで先ず売買を成立させた後は、かならずその後で他証券に連絡し、自分のポジションを「0」にするための反対売買をするのです。
するとナスダックの場合、投資家がある株を買い、ないしは売った時、①まずその投資家と証券会社の間でその株数(100株なら100株)の出来高が記録された後、こんどは②その証券がインター・ブローカー取引で自分の在庫を「0」にする取引をするので、ナスダックでの出来高としてはもう一回、100株の別の取引が成立したことになるのです。
つまり**ナスダックの出来高は「ダブルカウントされている」**という風に考える事も出来るのです。
さて、IPOの場合、(IPOの売出しで投資家に渡された株のうち何株が市場で売却された?)ということを知るのは株価の先行きを占う上で重要です。その場合、そのIPOがNYSEで取引されているのか? それともナスダックで取引されているのか? に注意する必要があります。
NYSEの場合、報告された出来高そのものが実際に最終投資家間で手の替わった実需の株数になりますけど、ナスダックの場合はスクリーンに出ている株数を「÷2」する必要があるのです。