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ロブロックスとアファームは何故IPOを延期した?

2020年12月13日 08:10

ロブロックス(ティッカーシンボル:RBLX)とアファーム(AFFM)が相次いでIPOを1月まで延期しました。

その理由は二つあると思います。

まず米国証券取引委員会(SEC)が忙しすぎるから。

もうひとつの理由は、会社側がより大きな資金を新株で調達したい、そして従業員やベンチャー・キャピタルの中からもっと沢山の株をIPOで売りたいという人が居る場合、そのリクエストに応えられるようにするためです。

ドアダッシュ(ティッカーシンボル:DASH)やエアビーアンドビー(ティッカーシンボル:ABNB)のIPOを見ればわかるとおり、最近のIPOは人気が凄くて値決め価格の引き上げ幅も大きいです。

とりわけこれらの企業はユニファイド・オークションという新しい価格決定方式を採用した関係で最多需要帯に値決めレンジをさや寄せするための自由度を大きく持たせたいところです。

通常、IPOの価格レンジを変更する際、1回目の変更は問題ありません。

ただ2回目の変更で価格を大幅に上方修正する場合、SECから「売出目論見書を刷り直せ!」と言われることがあります。

これは発行体にとっても余計な費用や事務手続きが発生することを意味します。

それでも値上げすることにより調達できる金額のほうが遥かに大きいので普通は文句を言わずに目論見書の刷り直しをします。

ロブロックスとアファームの場合、クリスマスの迫った今のタイミングでロードショーをキックオフし、需要が凄いと判明した場合、SECとのやりとりに時間がかかる、売出し目論見書の刷り直しがクリスマスに間に合わないなどのリスクがあります。

したがって身動き取れなくなるより1月まで延期する選択肢を選んだのだと思います。

最近、IPOラッシュでSECの事務は遅れがちです。IPOの値決めの日、発行価格を決定するプライシング・ミーティングで発行体と幹事証券が値段面で折り合い、「この値段で行きます!」とSECに報告しても、SECの方から「有効(effective)」のGOサインが出ないときがあります。

その場合、主幹事から投資コミュニティーに対する、「プライシングしました!」というアナウンスメントは翌日、すなわち取引開始日の朝まで出来ません。最近ではシースリーエーアイ(ティッカーシンボル:AI)がそのケースでした。

別にアロケーション(どの機関投資家に何株渡すか)の連絡は当日朝でも構わないですけど、機関投資家は自分に回ってくる株数を知った上でアフターマーケットで追加注文を入れるので、まずその連絡が行かないことには上場初日の注文も取れないことになります。こうしてIPO初値の提示時間はどんどん遅れるわけです。

別の角度からこの問題を考えるとドアダッシュとエアビーアンドビーがユニファイド・オークションという価格設定の自由度の高い方式を採用したにもかかわらずIPO値決め価格がじゅうぶんに高くなく、結果として上場初値が大きなプレミアムになったひとつの理由は、SECの事務の遅延で主幹事が余りアグレッシブに価格を改訂できなかったことが関係しているはずです。

ロブロックスは、これに対する反省からスケジュール的にきついクリスマス直前を避け、敢えて1月に延期したのだと思います。

その意味するところはロブロックスやアファームの価格設定は我々買い手である投資家よりも売り手、すなわち発行体側に有利な値段になるだろうということです。